昔からあるものと思われがちですが、
水引が今のような張りのある質感になったのは、明治以降とのこと。
それ以前はもう少しやわらかな紙縒り。
そして、それよりもっと前は大麻で結んでいたものかと思います。
素材が変わると文化も変わる。
紙縒りや大麻では、華やかな鶴や亀、松竹梅などの
装飾を生みだすことはできません。
婚礼の結びの定番である「あわじ結び」すら難しい。
今、祝いの形として常識となっているものは、比較的新しい文化の形。
それでは・・・とそれ以前を想像してみる。
水引といえば、紅白に染め分けられたものを思い浮かべますが、
この定番も昔から・・と言う訳ではないようです。
紅白に染め分けることになった由縁は諸説あるのですが、
結ぶ時に紙縒りを口にくわえたことが始まり。というのが通説。
口紅が紙縒りに移ることから、そのまま紅を引くようになったのでは?
と言われています。
口紅といえば、女性を想像させるものですから、
折形が武家の文化であった頃には無いものでしょう。
少し調べるだけで、いろいろな要素が削られていく。
いつの間にか盛られた文化なのだと気づく。
一度原点を確かめ、その上で今必要な形に盛りたいと思う。
写真は麻紙糸。
私が好んで紙縒りとして使っているもの。
数年前に廃番になってしまったのですが、
在庫を探してもらい手に入れる事ができたので
嬉しいな・・・という気持ちと、
でもこれを使い切ってしまったらどうしよう・・・
という不安な気持ちから
水引について考察してみました。